「うつ病で仕事を続けられない」「退職した方がいいのか迷っている」という悩みを抱える方は少なくありません。
体調が優れないまま無理に働き続けると、症状が悪化して長期的な回復が難しくなることもあります。
一方で、退職を決断するには休職との違い、退職の流れ、退職後に利用できる制度などを理解しておくことが重要です。
診断書の提出が必要かどうか、傷病手当金や失業保険は使えるのか、退職理由はどう伝えるのかなど、疑問を持つ人も多いでしょう。
この記事では、うつ病で退職を考えるときの正しい手順、退職前に検討すべきこと、退職後に利用できる支援制度までわかりやすく解説します。
適切な流れを知ることで、不安を減らし、安心して次のステップへ進む準備ができるはずです。
心の病気は放置すると重症化する恐れがあるため、早期の治療をお求めの方は当院までご相談ください。
うつ病で仕事を続けるのが難しいと感じるサイン
うつ病になると、これまで普通にできていた仕事が急に負担に感じられることがあります。
単なる疲れや一時的なストレスと違い、症状が長引くと業務や生活全般に支障をきたし、退職を考えるきっかけになることも少なくありません。
ここでは、仕事を続けるのが難しいと感じる代表的なサインを紹介します。
- 朝起きられず出勤が困難になっている
- 集中力や判断力の低下で業務に支障がある
- 職場の人間関係や環境が強いストレスになっている
- 医師や家族から休養を勧められている
こうしたサインに早めに気づくことで、休職や退職を検討する適切なタイミングを見極めることができます。
朝起きられず出勤が困難になっている
うつ病の典型的な症状のひとつが「朝起きられない」という状態です。
体が重く感じて布団から出られない、起きても強い倦怠感で支度が進まないといった状況が続きます。
これは単なる寝不足ではなく、心のエネルギーが消耗しているサインです。
無理に出勤を続けると欠勤や遅刻が増え、自己嫌悪が強まり、症状の悪化につながります。
朝の起床が極端に難しくなっているときは、仕事の継続が困難になっているサインといえます。
集中力や判断力の低下で業務に支障がある
うつ病では集中力や判断力が著しく低下し、普段の業務がこなせなくなることがあります。
同じ作業に時間がかかる、些細なミスが増える、重要な判断を先送りしてしまうといった変化が目立ちます。
努力や気合では改善せず、続けば職場の信頼関係にも影響します。
こうした悪循環は自己評価の低下やさらに強い抑うつ感を引き起こす原因になります。
集中力や判断力の低下は、仕事の継続が難しくなっている明確なサインです。
職場の人間関係や環境が強いストレスになっている
うつ病の悪化には職場の人間関係や環境が大きく関わることがあります。
上司の叱責や同僚との摩擦、過度なノルマや長時間労働は大きな心理的ストレスになります。
「職場に行くことを考えるだけで動悸がする」「会社を思い浮かべると気分が沈む」といった状態は危険信号です。
ストレス要因が職場環境にある場合、無理に働き続けると症状がさらに悪化します。
職場環境が強いストレスとなっているときは、退職を含めて働き方を見直す必要があります。
医師や家族から休養を勧められている
自分では「まだ大丈夫」と思っていても、医師や家族から休養を勧められる場合は注意が必要です。
医師は客観的に症状を評価し、就業が困難だと判断すれば診断書を発行して休職や退職を提案します。
また、家族は日常生活での変化を敏感に察知しており、その声には信頼性があります。
第三者が休養を勧める状況は、すでに心身が限界に近づいているサインです。
周囲からの助言を無視せず、休職や退職を検討する大切なタイミングと考えることが重要です。
退職と休職の違いを理解する
うつ病で仕事を続けるのが難しいと感じたとき、「退職」と「休職」のどちらを選ぶかは大きな分岐点になります。
休職は会社に籍を残したまま一定期間働かずに療養できる制度で、復職を前提としているのが特徴です。
一方で退職は雇用契約を終了する選択であり、復帰の余地はなくなります。
また、それぞれで利用できる給付や制度が異なるため、違いを理解して判断することが重要です。
- 休職は「復職」を前提とした制度
- 退職は雇用契約を終了する選択
- 休職と退職で利用できる制度の違い
- まずは休職を検討するメリット
この違いを理解することで、将来に後悔しない選択ができるようになります。
休職は「復職」を前提とした制度
休職とは、心身の不調で働けないときに会社に籍を残したまま休養できる制度です。
就業規則で期間が定められており、数か月から最長1年半程度の休職が認められることもあります。
健康保険から支給される傷病手当金を受給しながら治療に専念できるため、経済的にも安心して療養が可能です。
症状が改善すればそのまま復職できるのが大きな特徴です。
「一時的に離れて回復を待つ」仕組みが休職です。
退職は雇用契約を終了する選択
退職は会社との雇用関係を完全に終了することを意味します。
復職はできませんが、心身の回復に専念しやすくなる、環境をリセットできるという利点もあります。
退職後は雇用保険を通じて失業給付を受けられる場合がありますが、療養中はすぐに受給できないケースもあるため注意が必要です。
「会社を離れる」という明確な区切りが退職の特徴です。
休職と退職で利用できる制度の違い
休職中と退職後では利用できる制度が大きく異なります。
休職中は健康保険から傷病手当金が最長1年6か月支給され、生活を支える大きな柱となります。
一方、退職後は失業給付が中心で、病気療養中はすぐに受け取れない場合があります。
また、退職理由が「病気によるもの」と認められると、特定理由離職者として有利な条件で受給できることもあります。
どちらを選ぶかで経済的支援が変わるため、慎重な判断が必要です。
まずは休職を検討するメリット
退職か休職かで迷ったときは、まず「休職」を選ぶメリットが大きいです。
休職であれば経済的な保障を得ながら治療に専念でき、症状が改善すれば復職のチャンスが残ります。
退職は後からでも可能ですが、休職はその時にしか選べない制度です。
「復職を試みてから退職を考える」という流れにすることで、安心して次の選択肢を検討できます。
休職を経て退職を選ぶことで、後悔を減らし、生活の安定も確保しやすくなります。
退職を決断する前にやるべきこと
うつ病で退職を考えるとき、すぐに辞表を出すのではなく、事前に確認しておくべきことがあります。
準備をせずに退職すると、生活の見通しが立たず、経済的にも精神的にも不安定になりやすいからです。
主治医や家族、会社の制度、外部の専門家に相談することで、自分にとって最適な選択肢が見えてきます。
ここでは、退職を決断する前に必ずやっておきたい行動をまとめます。
- 主治医に相談し診断書をもらう
- 会社の就業規則や休職制度を確認する
- 家族と話し合い生活の見通しを立てる
- 専門家(産業医・社労士・ハローワーク)に相談する
こうした準備を行うことで、退職後の不安を減らし、安心して次のステップへ進むことができます。
主治医に相談し診断書をもらう
まずは主治医に現在の状態を相談し、診断書を発行してもらうことが大切です。
診断書は休職の申請や傷病手当金の請求、退職理由を証明する資料としても使われます。
医師の判断を仰ぐことで、退職ではなく休職で回復を目指せる場合もあります。
自己判断せず、医師の意見をもとに行動することが安心につながります。
診断書は「客観的な証拠」であり、会社や公的制度を利用する際の重要な鍵となります。
会社の就業規則や休職制度を確認する
会社によって休職制度や退職手続きのルールは異なります。
まずは就業規則を確認し、休職期間や給与・手当の取り扱いを把握することが必要です。
会社によっては独自の休職制度や福利厚生が用意されている場合もあります。
これを確認せずに退職してしまうと、利用できる制度を見逃してしまう可能性があります。
「制度を知った上で退職するかどうか判断する」ことが、後悔を防ぐポイントです。
家族と話し合い生活の見通しを立てる
退職は生活に大きな影響を与えるため、家族との話し合いは欠かせません。
収入の減少や生活費の確保、再就職の時期などを共有しておくことで安心感が得られます。
また、家族の理解と協力があれば療養にも集中しやすくなります。
一人で抱え込まず、身近な人と現実的な見通しを立てることが大切です。
家族のサポートは精神的な支えだけでなく、制度利用や生活の安定にも直結します。
専門家(産業医・社労士・ハローワーク)に相談する
退職を決断する前に、外部の専門家に相談することも有効です。
産業医は職場での働き方に関する助言をしてくれ、社労士は傷病手当金や社会保険の手続きについて詳しい情報を教えてくれます。
また、ハローワークでは失業給付や再就職支援制度の説明を受けることができます。
複数の視点から情報を得ることで、より安心して決断できるでしょう。
専門家の助言は、自分一人では気づけない制度や選択肢を見つけるきっかけになります。
うつ病で退職する場合の流れ
うつ病で退職を選ぶときは、正しい流れを理解しておくことが大切です。
手順を踏まずに勢いで辞めてしまうと、会社とのトラブルや公的制度を利用できないといった不利益につながる可能性があります。
ここでは、退職を進めるときの基本的な流れを解説します。
- 退職の意思を会社に伝える
- 診断書を提出するケースと提出しないケース
- 退職日を決定し業務の引き継ぎを行う
- 健康保険・年金・雇用保険などの手続きを進める
この流れを押さえておくことで、スムーズに退職を進めることができます。
退職の意思を会社に伝える
まずは退職の意思を直属の上司や人事部に伝えることから始めます。
伝えるタイミングは体調や業務状況を考慮し、できるだけ早めに行うのが望ましいです。
退職理由は「健康上の理由」や「療養のため」と伝えれば問題ありません。
細かい症状まで話す必要はなく、診断書があれば十分に証明できます。
誠実な対応を心がけることで、会社側もスムーズに対応してくれます。
診断書を提出するケースと提出しないケース
退職時に必ず診断書が必要というわけではありません。
しかし、会社によっては診断書の提出を求められる場合があります。
診断書を提出することで「病気による退職」であることが明確になり、会社都合退職や失業給付で有利になる可能性があります。
一方、自己都合退職として扱われる場合は診断書なしでも退職可能です。
診断書は必須ではありませんが、提出することで手続きを有利に進められるケースがあります。
退職日を決定し業務の引き継ぎを行う
退職日を会社と相談して決定し、業務の引き継ぎを行うことも重要です。
民法上は退職の申し出から2週間後に退職可能ですが、就業規則で1か月前の申請を求める会社も多くあります。
体調が優れない場合は、無理のない範囲で引き継ぎを行うよう調整しましょう。
引き継ぎが不十分だと退職後に連絡が来るリスクもあるため、可能な限り整理しておくのが安心です。
円満退職を目指すためにも、退職日の調整と引き継ぎは欠かせません。
健康保険・年金・雇用保険などの手続きを進める
退職後は社会保険や年金、雇用保険などの手続きを忘れずに行う必要があります。
会社を辞めると健康保険証を返却する必要があり、国民健康保険への切り替えか、任意継続を選択することになります。
また、厚生年金から国民年金への切り替え手続きも必要です。
さらに、失業給付を受けるためにはハローワークでの手続きが必須です。
退職後すぐに生活が不安定にならないよう、社会保険・年金・雇用保険の手続きを早めに済ませておきましょう。
退職前に活用できる制度
うつ病で退職を考える前に、まずは利用できる制度を確認することが大切です。
いきなり辞めてしまうと経済的な支援を受けられず、生活が不安定になりやすいからです。
健康保険や会社の制度、公的な年金や労災補償など、退職前に活用できる制度は複数あります。
ここで紹介する制度を理解しておくことで、退職後の生活の不安を軽減することができます。
- 健康保険の傷病手当金を受給する
- 会社の福利厚生や休職制度を確認する
- 障害年金の対象になるケース
- 労災保険が適用される場合
退職前に制度を把握し活用することは、安心して療養を続けるための大きな支えになります。
健康保険の傷病手当金を受給する
会社員がうつ病で働けなくなったとき、最も活用されるのが健康保険の「傷病手当金」です。
これは給与の約3分の2が最長1年6か月支給される制度で、休職中や退職後も条件を満たせば受給可能です。
診断書を提出し、勤務先や健康保険組合を通じて申請します。
生活の安定を確保するため、退職を決める前に必ず申請を検討すべき制度です。
会社の福利厚生や休職制度を確認する
会社によっては独自の休職制度や福利厚生が用意されていることがあります。
例えば休職期間中の給与補助、カウンセリングサービス、復職支援プログラムなどが設けられているケースもあります。
これを確認せずに退職すると、本来利用できる制度を見逃してしまうことになります。
まずは就業規則や人事部に確認し、自分に利用できる制度を正しく把握することが大切です。
障害年金の対象になるケース
うつ病の症状が長期にわたり日常生活や就労に大きな制限を与えている場合、障害年金を受給できる可能性があります。
障害年金は働けない期間の生活を支える公的制度で、初診日からの保険加入状況や診断書の内容が審査に用いられます。
受給には時間がかかるため、早めに医師や年金事務所に相談しておくと安心です。
退職後も継続的に生活を支える制度のひとつとして検討できます。
労災保険が適用される場合
職場の強いストレスやハラスメントが原因でうつ病を発症した場合、労災保険が認められるケースがあります。
労災と認められれば、治療費の自己負担がなくなり、休業補償給付が受けられます。
ただし、申請には詳細な証拠や医師の診断書が必要であり、手続きに時間を要することもあります。
職場環境が原因だと考えられる場合は、労災申請の可能性も視野に入れて検討しましょう。
退職後に利用できる制度
うつ病で退職した後も、生活を支えるために利用できる公的制度や支援があります。
退職直後は収入が途絶えるため、不安を感じる方も多いですが、制度を活用すれば経済的にも精神的にも安心できます。
ここでは、退職後に申請・利用できる代表的な制度を紹介します。
- 失業保険の受給と特定理由離職者の扱い
- 自立支援医療制度で医療費を軽減する
- 生活保護や自治体のサポート
- 再就職支援サービスや職業訓練の利用
退職後の生活を安定させるために、これらの制度を組み合わせて活用することが大切です。
失業保険の受給と特定理由離職者の扱い
退職後は雇用保険から「失業保険(基本手当)」を受給できる可能性があります。
通常は「自己都合退職」となり給付まで3か月の待機期間がありますが、病気による退職が認められれば「特定理由離職者」として待機期間なしで受給できる場合もあります。
申請はハローワークで行い、医師の診断書や退職理由を証明する書類が必要です。
病気退職の場合は有利な扱いが受けられる可能性があるため、必ず相談しましょう。
自立支援医療制度で医療費を軽減する
うつ病などの精神疾患の治療を続ける場合、「自立支援医療制度」を利用することで医療費の自己負担を3割から1割に軽減できます。
通院や薬の費用が長期にわたることを考えると、大きな経済的支えになります。
申請は市区町村の福祉課で行い、主治医の意見書が必要です。
退職後に収入が減っても安心して治療を続けられるよう、必ず検討すべき制度です。
生活保護や自治体のサポート
収入や資産が十分でない場合、生活保護を申請して生活費や医療費の支援を受けることも可能です。
また、自治体によっては家賃補助や就労支援、相談窓口の設置など独自の支援を行っている場合もあります。
生活に困窮したときは一人で抱え込まず、役所や福祉窓口に相談することが大切です。
退職後の生活基盤を整えるために、自治体の制度を積極的に活用しましょう。
再就職支援サービスや職業訓練の利用
回復後に再就職を目指す場合、ハローワークやジョブカフェなどの再就職支援サービスを利用することができます。
職業訓練を受ければ新しいスキルを習得でき、失業給付を受けながら通うことも可能です。
また、障害者雇用枠での就職やリワークプログラムを活用する方法もあります。
再就職へのステップを踏むために、退職後の時間を有効に活用することが重要です。
退職を選ぶ際の注意点
うつ病で退職を選ぶときには、いくつかの重要な注意点があります。
勢いで退職を決めてしまうと、失業給付や生活費、再就職の面で不利になる可能性があるからです。
退職の方法や理由の伝え方によって、その後の生活やキャリアに大きな影響を与えることがあります。
ここでは、退職を選ぶ際に特に気をつけたいポイントを解説します。
- 自己都合退職と会社都合退職の違い
- 退職理由の伝え方と診断書の活用方法
- 履歴書や面接での伝え方
- 退職後の生活費の見通しを立てる
これらを意識して準備しておくことで、退職後の不安を最小限に抑えることができます。
自己都合退職と会社都合退職の違い
退職には「自己都合」と「会社都合」があり、失業給付の条件に大きな違いがあります。
自己都合退職では3か月の給付制限がかかることがありますが、会社都合退職の場合はすぐに失業給付を受けられます。
うつ病など健康上の理由で働けない場合、医師の診断書を提出すれば「特定理由離職者」として扱われるケースもあります。
退職区分によって受けられる支援が変わるため、事前に確認することが重要です。
退職理由の伝え方と診断書の活用方法
退職理由を伝える際は「一身上の都合」や「健康上の理由」で十分です。
詳細な病名や症状を会社に伝える必要はなく、必要に応じて診断書を提出すれば客観的な証明になります。
診断書があると、会社側もスムーズに対応しやすく、失業給付の申請にも有利です。
診断書を上手に活用することで、退職理由の伝え方に余計な負担をかけずに済みます。
履歴書や面接での伝え方
再就職活動の際に退職理由をどう伝えるかも大切です。
履歴書には「一身上の都合により退職」と記載すれば問題ありません。
面接で理由を聞かれた場合は「健康上の理由で退職したが、現在は回復し働ける状態にある」と前向きに伝えるのが望ましいです。
正直さと前向きさをバランスよく伝えることで、採用担当者の印象も良くなります。
退職後の生活費の見通しを立てる
退職後は収入が途絶えるため、生活費の見通しを立てておくことが不可欠です。
傷病手当金や失業給付の受給開始時期を確認し、家計のシミュレーションを行いましょう。
貯金だけに頼るのではなく、利用できる制度を積極的に活用することが大切です。
経済的な不安を減らすことが、安心して療養と再出発に専念するための基盤になります。
退職後の生活と再就職までの過ごし方
うつ病で退職した後は、まず心身を回復させることが最優先です。
いきなり再就職を目指すのではなく、休養と治療を土台にして少しずつ生活を整えていくことが大切です。
また、回復の度合いに応じて短時間の活動を取り入れたり、再就職のタイミングを見極めることも重要です。
ここでは、退職後にどのように過ごし、再就職までどんなステップを踏めばよいのかを解説します。
- 休養と治療を優先する
- 規則正しい生活習慣を整える
- リハビリ的に短時間労働やボランティアを試す
- 再就職活動を始めるタイミング
計画的に過ごすことで、安心して再出発に向けた準備ができます。
休養と治療を優先する
退職直後は無理をせず、まずは休養と治療を優先することが大切です。
体力や気力が回復していないうちに再就職を急ぐと、再び症状が悪化するリスクがあります。
医師の治療方針に従い、しっかり休むことで回復のスピードも安定します。
「働く準備」よりも「治すこと」が第一歩です。
規則正しい生活習慣を整える
退職後の生活では、規則正しい生活習慣を整えることが重要です。
起床・就寝の時間を一定にし、バランスの良い食事や軽い運動を取り入れることで体調が整いやすくなります。
だらだら過ごす生活リズムは気分の落ち込みを悪化させるため注意が必要です。
生活習慣を安定させることが、再就職に向けた基盤づくりにつながります。
リハビリ的に短時間労働やボランティアを試す
ある程度回復してきたら、短時間の仕事やボランティアをリハビリとして取り入れる方法もあります。
短時間勤務や軽作業を通じて、働くリズムを少しずつ取り戻すことができます。
責任の重い仕事ではなく、無理のない範囲で社会とのつながりを持つことが大切です。
段階的に慣らすことで、再就職への自信を育てることができます。
再就職活動を始めるタイミング
再就職活動を始めるタイミングは「体調が安定し、主治医から働けると判断されたとき」です。
焦って活動を始めると、再び体調を崩す恐れがあります。
ハローワークや再就職支援サービスを活用し、自分のペースで進めるのが理想です。
医師と相談しながら無理のないタイミングを選ぶことが、長期的な安定につながります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 退職前に休職を必ず経るべきですか?
必ず休職を経る必要はありませんが、退職を迷っている場合は休職を優先するのが一般的におすすめです。
休職すれば傷病手当金を受給しながら療養でき、回復後に復職も可能です。
どうしても復帰が難しいと感じたときに退職を選ぶ方が安心して判断できます。
Q2. 診断書なしで退職できますか?
診断書がなくても退職は可能です。
ただし、診断書を提出すれば「病気による退職」であることを証明でき、失業保険の受給条件が有利になる場合があります。
できるだけ主治医に相談して診断書をもらっておくのがおすすめです。
Q3. 退職後すぐに失業保険はもらえますか?
自己都合退職の場合は、原則として3か月の給付制限があります。
しかし、病気退職が認められれば「特定理由離職者」となり、待機期間なしで失業給付を受けられるケースもあります。
ハローワークで必ず相談しましょう。
Q4. 傷病手当金と失業保険は併用できますか?
傷病手当金と失業保険は同時には受給できません。
療養中は傷病手当金を優先し、働ける状態になってから失業保険を申請する流れが一般的です。
両方を効率的に利用するにはタイミングが大切です。
Q5. 履歴書に「うつ病で退職」と書く必要はありますか?
履歴書には「一身上の都合により退職」と書けば十分です。
病名を具体的に記載する必要はありません。
面接で質問された場合も「健康上の理由で退職したが、現在は回復している」と前向きに伝えましょう。
Q6. 再就職はどのくらいの期間を空けるのが良いですか?
再就職の時期は体調の回復状況によって異なります。
目安は主治医から「就労可能」と判断されたときです。
無理に急がず、休養・生活リズムの安定・リハビリ的活動を経てから再就職活動を始めるのが望ましいです。
うつ病で退職を考えるときは流れを理解し、制度を賢く活用しよう
うつ病で退職を考えるときには、正しい流れを知り、公的制度や会社の仕組みを賢く活用することが大切です。
診断書や休職制度、傷病手当金や失業保険などを理解しておけば、経済的にも精神的にも安心して次のステップに進むことができます。
焦って退職を決めるのではなく、休職や制度利用を踏まえた上で最適な判断をすることが、回復と再出発につながります。
心の病気は放置すると重症化する恐れがあるため、早期の治療をお求めの方は当院までご相談ください。