双極性障害とは
双極性障害とは、感情の激しい変動が見られる精神疾患で、気分が極端に高まる「躁状態」と極度に沈む「抑うつ状態」が交互に現れることが特徴です。双極性障害は、時折気分が通常の状態になることもあり、そのために本人が異常に気づかない場合も少なくありません。
そのため、もし周囲から感情の変化が著しいと指摘された場合、双極性障害の可能性を考慮し、迅速に医療機関での相談をおすすめします。気分の激しい浮き沈みを感じた際は早めに当院までご相談ください。
双極性障害を発生する原因
双極性障害を発生する原因には「遺伝的要因」「環境要因」の2つに分けられます。それぞれの原因を確認していきましょう。
遺伝的要因の影響
双極性障害は、しばしば遺伝的な要因が関与しているとされています。家族に双極性障害を持つ人がいる場合、その傾向は強まることが明らかとなっています。このような遺伝的背景を持つ方には、早期の診断や予防的措置がより重要となります。
ストレスや環境要因
強いストレスや大きなライフイベントも、双極性障害の発症要因として知られています。職場や家庭でのプレッシャー、不安定な生活環境、トラウマとなる出来事は双極性障害を引き起こす引き金となることがあります。さらに、睡眠不足や不規則な生活習慣も発症リスクを高めることがあるため、健康的なライフスタイルを保持することが大切です。
双極性障害の種類
双極性障害は、症状の特性によって「双極性障害1型」「双極性障害2型」の2つのタイプに分けられます。それぞれのタイプの特徴を確認していきます。
・双極性障害1型双極性障害の1型は、生活や職場での活動に大きな支障をもたらす、極端な躁状態が特徴の一つです。このタイプの双極性障害を発症している方は、突然大声で話し始めたり、会話の流れを中断して急に怒りを露わにしたりなど、衝動的な行動を示すことがあります。
・双極性障害2型双極性障害2型は日常生活や職場での活動に大きな支障が生じるほどの影響を及ぼさない軽度の躁状態を特徴としています。このタイプの双極性障害では、躁状態がそれほど顕著ではないため、本人が気づかないこともしばしばあります。そのため、異変に気づいた家族や友人が、注意深く見守りつつ適切な助言を行うことが重要です。
双極性障害の主な症状
双極性障害は「躁状態」と「抑うつ状態」の2つの症状が見られることが特徴です。それぞれ主な症状は以下の通りです。
抑うつ状態の症状
・1日中気分が落ち込む状態が数週間続く ・食欲がなく体重が減少する
・立ちくらみがする ・何事に対してもやる気がわかなくなる ・思考が働かない
・性欲がない ・喉がかわく など
躁状態の症状
・ハイテンションになる ・自信に満ち溢れる ・睡眠時間が極端に短くなる
・急に怒りだす ・普段と比べて活動的になる ・開放的になる など
双極性障害の治療方法
双極性障害の治療法には「薬物治療」と「社会心理療法」の2つがあります。それぞれの治療法の特徴は以下の通りです。
・薬物治療
双極性障害は、治療において薬を使用することで症状の改善が期待できます。特に、「気分安定薬」や「抗精神病薬」が処方されます。これらの薬は、症状を和らげるだけでなく、再発を抑える役割も果たし、患者の精神的なバランスを持続的に保つ効果が期待できます。
・社会心理療法
社会心理療法は、双極性障害の治療において薬物療法と併用すると効果が期待できます。心のケアや対処法を学びながら自己管理能力を高める心理教育や、家族と協力して病状の改善を目指します。社会心理療法は、患者が安定した生活を取り戻す手助けとなります。
双極性障害の診断方法
双極性障害は、典型的なうつ病とは異なり、長期間にわたって抑うつ状態が続かないため、双極性障害を抱えていることに気づかないケースもしばしば見受けられます。この疾患は、適切な治療を受けることで症状を改善できるものの、放っておくと悪化し、時には命に関わる深刻な状況に発展する恐れがあります。
そのため、自身の状態が双極性障害ではないかと感じた場合、以下のチェックシートを活用して確認することをおすすめします。リストで複数の項目に心当たりがある場合は、双極性障害の可能性があるため、早めに当院に相談にいらしてください。