パニック障害とは
パニック障害とは、普段の生活中に突如としてパニック発作を引き起こしてしまう精神的な疾患のことです。突然心臓が激しく脈打ったり、目眩がしたり、息苦しさを感じたり、手足が震えるといった症状が現れます。
このような症状は生活に大きな影響を与えることが多く、発作が予告なしに訪れるため、自分自身で制御するのが非常に難しいとされています。そのため、外出を避けるようになる人も少なくありません。この疾患はおよそ100人に1〜2人が経験するといわれています。
パニック障害は日常生活を送るのに多大な影響を与えるため早期の治療が必要です。パニック発作を疑った場合は早めに当院までご相談ください。
パニック障害を発症する原因
パニック障害は、心理的、遺伝的、環境的要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。一つの原因ではなく、これらの要因が相互に影響を及ぼすことで、症状が現れることが多いため注意が必要です。それぞれの原因の詳細は以下の通りです。
◯心理的要因
心理的要因としては、過度のストレスや不安が挙げられます。仕事や家庭でのプレッシャーが大きい場合、それが積み重なることで身体的にも精神的にも負荷がかかり、やがてパニック障害を引き起こすことがあります。
また、強い自己否定感や不安感が長期間続くと、それが引き金となることもあります。特に完璧主義の傾向が強い人は、自分に課すハードルが高く、その結果として心理的に圧迫されやすくなります。
◯遺伝的要因
遺伝的要因も、パニック障害の発症に関連しているとされています。家族にパニック障害や他の不安障害を持つ人がいる場合、発症のリスクが高まる可能性があります。
これは、遺伝によって特定の神経伝達物質のバランスやストレスに対する反応が影響を受けるからです。遺伝的な要因がすべてではありませんが、家族にパニック障害の方がいる場合は注意深く観察する必要があります。
◯環境的要因
環境的要因としては、幼少期の家庭環境や学校での経験が影響を及ぼすことがあります。不安定な家庭環境やいじめ、虐待などを経験した人は、後にパニック障害を発症するリスクが高まることがあります。
また、急激なライフスタイルの変化や喪失、病気などといった生活上の大きなストレスも、発症を誘発する要因となり得ます。こうした環境要因が精神的な健康にどのように影響するかを理解することが重要です。
パニック障害の3つの症状
パニック障害とは、「パニック発作」「広場恐怖」「予期不安」の3つの症状が現れる精神的な疾患です。これらの症状にはそれぞれ独自の特徴があります。
・パニック発作
パニック発作とは突然、心臓が激しく鼓動したり、身体が動かなくなるほどの震えや息苦しさに襲われ、不安感が急速に増す症状のことです。このような発作は一般的に短時間であることが多く、5分から30分ほどで収まることがほとんどです。
・予期不安
予期不安とは、繰り返しパニック発作を経験してきた人々が、再び発作が起こるのではないかという強い恐れを感じる状態を指します。治療によって実際の発作が減少しても、この不安感は依然として心の中に残り続けることがあります。
・広場恐怖
広場恐怖症とは、多くの人々が集まる場所でパニック発作が発生することへの不安や、それを他人に見られる恐怖感から、人混みを避けたり、1人で外出することが難しくなります。この恐怖感は人前に出ることを躊躇させるため、日常生活においてさまざまな支障を生じさせる可能性があります。
パニック障害の治療方法
パニック障害の治療方法には「薬物療法」と「認知・行動療法」が用いられるのが一般的です。それぞれの治療法の特徴は以下の通りです。
薬物療法
薬物療法はパニック障害の治療において広く用いられており、症状の軽減と再発予防に効果が期待できます。主に選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)やベンゾジアゼピンなどの薬が使用されます。
SSRIは長期的な治療に適しており、パニック発作の頻度を減少させます。
一方、ベンゾジアゼピンは速やかな効果が期待できるため、急を要する状況での短期間の使用が適しています。治療開始後は医師と相談しながら適切な投与量を決定し、定期的に効果を評価することが重要です。
認知・行動療法
認知・行動療法(CBT)は、パニック障害の心理的治療法として高い効果が期待できます。患者が恐怖や不安を引き起こす思考パターンを特定し、それを変えるためのスキルを学ぶことを目的としています。
例えば、呼吸法やリラクゼーション技術を用いて発作時の身体的反応を管理したり、徐々に不安を引き起こす状況に慣れるエクスポージャー療法を行ったりします。これにより、患者は発作に対する恐怖を減少させ、日常生活における不安をコントロールする能力を向上させることができます。
パニック障害の診断方法
パニック障害は自己治療が困難な障害であり、症状が現れたときにはできるだけ速やかに専門の医療機関を受診することが重要です。もし自分がパニック障害の可能性があると感じた場合、次のチェックリストを活用してください。
このチェックリストの複数の項目に当てはまる場合、パニック障害である可能性が高いので、迅速に当クリニックへご相談ください。