「あがり症(社会不安障害)の治し方・治療法は?」
「あがり症でも緊張しない方法や克服のポイントが知りたい」
「あがり症で病院へ行くべき?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
過度なあがり症は社会生活に悪影響を及ぼすため注意が必要です。
本記事では、あがり症(社会不安障害)の治し方を紹介します。また、あがり症でも緊張しない方法や克服のコツも解説するため参考にしてください。
なお、うつ病に気づいたら可能な早期に心療内科・精神科クリニックに相談することが大切です。よりそいメンタルクリニックであれば、当日予約や診断書の当日発行が可能です。気軽にご相談ください。
心の病気は放置すると重症化する恐れがあるため、早期の治療をお求めの方は当院までご相談ください。
あがり症(社会不安障害)とは?
あがり症(社会不安障害)は、人前で話したり注目を浴びたりする状況で、極度の緊張や不安を感じる心理的な状態を指します。
この不安は、日常生活や仕事、学業などに支障をきたすことも多く、症状が強い場合には治療が必要とされます。
恥ずかしさや失敗への恐れが強く現れることが特徴です。
あがり症のメカニズム
あがり症のメカニズムは、主に脳内の神経伝達物質や自律神経の働きに関係しています。
人が注目される状況になると、脳の扁桃体が危険を察知し、身体を緊張させるホルモンが分泌されます。
この結果、心拍数の増加や手足の震え、発汗などの症状が現れます。これにより「失敗したらどうしよう」「笑われたらいやだ」という考えが強まり、更なる緊張や不安を引き起こしやすくなります。
こうした悪循環が続くことで、あがり症の症状が慢性的になることが多いのです。
あがり症を発症しやすい年齢
あがり症は、思春期から青年期にかけて発症しやすいとされています。
特に中学生や高校生ごろは、自己意識が高まり、周囲の目を気にする機会が増えるため、症状が現れやすい時期です。
また、社会経験が浅い若年層は失敗や恥を恐れる気持ちが強くなりがちです。
もちろん大人でも新しい環境や大勢の前で話す機会などで発症することがありますが、発症のピークは10代から20代の若年層に多いといわれています。
あがり症(社会不安障害)の治し方・治療法
あがり症には以下の治療法が効果が期待できるとされています。
- 薬物療法
- 認知行動療法
それぞれの治療法の詳細を確認していきます。
薬物療法
あがり症(社会不安障害)に対する薬物療法は、症状の重さや生活への影響を考慮して選択されます。
主に、抗うつ薬(SSRIやSNRI)や抗不安薬、β遮断薬などが用いられます。抗うつ薬や抗不安薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、不安や緊張を和らげる効果が期待されます。
また、β遮断薬は発表など特定の場面で緊張が強いときに、一時的な心拍数増加や手の震えなどの身体症状を軽減するのに使われることがあります。
薬による治療は医師と相談しながら、症状や体質に合わせて最適なものを選ぶことが重要です。
認知行動療法
認知行動療法は、あがり症(社会不安障害)に効果が期待できる心理的療法の一つです。この治療では、自分の不安や緊張を引き起こす考え方の癖や誤った認知を見直し、より現実的で前向きな捉え方へと変えていくことを目指します。
不安を感じる状況に段階的に慣れていく「曝露療法」や、否定的な思考パターンを分析し修正する訓練が行われます。
カウンセラーと一緒に目標を設定し、実生活で活用できるスキルを身につけることで、長期的な改善が期待できます。
薬物療法と併用することで、より高い効果が得られることもあります。
あがり症で緊張しないための方法・克服するコツ
あがり症による緊張は、多くの人が経験するごく自然な現象です。しかし、日常生活や仕事などで過度な緊張に悩む方も少なくありません。
あがり症を克服するためには、正しい知識と具体的な対処法を知ることが大切です。
ここでは、緊張しにくくなるための方法や実践しやすい克服のコツをいくつかご紹介します。
- 緊張は自然な反応であると理解する
- 本番に近い環境で練習する
- 深呼吸でリラックスする
- 具体的な理想の自分をイメージする
- 事前準備を徹底する
- ポジティブな自己暗示をかける
- 人前で話す機会を増やす
自分に合ったやり方を見つけて、少しずつ自信をつけていきましょう。
緊張は自然な反応であると理解する
緊張を感じる自分を責めてしまう方も多いですが、緊張は人が危険や新しいことに直面した時に生じるごく自然な反応です。
「緊張すること自体はおかしいことではない」と理解するだけでも、気分がずっと楽になります。
緊張を無理に消そうとせず、「これは自分を守るための正常な反応だ」と受け入れるスタンスが大切です。
緊張しても焦らず、その感情を認めるところから始めましょう。
本番に近い環境で練習する
あがり症対策として効果的なのは、できるだけ本番に近い環境で練習することです。
例えば大きな声を出したり、誰かに見てもらいながら発表のリハーサルをすることで、実際の場面で感じる緊張感を事前に体験できます。
本番前に似た状況を何度も経験することで、徐々に緊張への慣れが生まれます。
深呼吸でリラックスする
緊張したときは呼吸が浅くなりやすいため、意識して深呼吸をすることがリラックスにつながります。
静かにゆっくりと息を吸いこみ、吐き出す動作を数回繰り返すことで、心と体の緊張が和らぐでしょう。
特に発表や面接の直前など、緊張が高まる場面では、「深く息を吸って吐く」ことをひとつの合図にすると、気持ちを落ち着かせる助けになります。
具体的な理想の自分をイメージする
あがり症を克服するには、「こんなふうに堂々としている自分」を明確にイメージすることも有効です。
自信を持って話している姿や、聴衆がうなずいてくれている場面など、具体的なシーンを何度も頭の中で描いてみましょう。
実際に理想の自分を想像することで、脳がそのイメージを現実と錯覚し、ポジティブな行動が促されやすくなります。
事前準備を徹底する
しっかりとした事前準備は、緊張を大きく和らげることにつなかまります。
話す内容を台本としてまとめるだけでなく、重要なポイントをメモにしたり、資料やスライドを確認したりすると、さらなる安心感が得られるでしょう。
「準備した」という安心感は自信にもつながるでしょう。準備を丁寧に行うことで、突発的なトラブルにも落ち着いて対応できる余裕が生まれます。
ポジティブな自己暗示をかける
緊張してしまいそうなときは、「大丈夫、自分ならできる」といった前向きな自己暗示と効果が期待できます。
否定的な言葉ではなく、肯定的なフレーズを自分自身に語りかけることで、気持ちが自然とポジティブに切り替わります。
「失敗してもやり直せばいい」「経験を積めばうまくなる」など、自分を勇気づける言葉を用意しておき、何度も繰り返し唱えることを習慣にしましょう。
人前で話す機会を増やす
少しずつ人前で話す場数を増やしていくことも、あがり症の克服につながります。
最初から大勢の前ではなく、家族や友人、少人数から始めるだけでも構いません。
人前で話す経験を積むことで、徐々に緊張しても動揺しにくくなります。
また、場数が増えれば自分なりの落ち着き方や話しやすい方法も見つかっていくでしょう。積極的にチャレンジしてみてください。
あがり症(社会不安障害)の症状
あがり症、または社会不安障害は、多くの人が悩む精神的な不調の一つです。特に人前や大勢の前で何かをする際に、強い緊張や不安を感じることが特徴です。
これらの不安は心だけでなく、体にもさまざまな症状として現れます。
- 赤面
- 口の渇き
- 吐き気
- 動悸
- 息苦しさ
- 声の震え
- 手足の震え
- 大量の汗
- のぼせ
あがり症によってよく見られる8つの身体症状について確認していきます。
赤面
あがり症の代表的な症状の一つが赤面です。誰かに注目されたときや、発言を求められたときに顔が急に赤くなる現象です。
これは自律神経が過敏に反応し、顔の血管が拡張することで起こります。
本人は赤面していることを強く意識し、それがさらに恥ずかしさや緊張感を増幅させて、症状が持続しやすくなります。
口の渇き
人前で話す直前や注目される場面など、緊張が高まると口の中が乾くことがあります。
これは交感神経の働きが活発になり、唾液の分泌が一時的に減少するためです。
口の渇きを強く感じると、話しづらかったり、発表中につい口ごもってしまうこともあります。
また、水分が必要以上に欲しくなるなど、普段感じない不快感が生じることも特徴です。
吐き気
強い緊張や不安により、胃腸に負担がかかり、吐き気が生じる場合があります。
胃がムカムカしたり、食欲がなくなったりすることもよく見られます。これらは、ストレスにより自律神経のバランスが乱れることが原因とされています。
吐き気が続くと「人前に出たくない」という気持ちが強くなり、あがり症の悪循環につながる場合も珍しくありません。
動悸
胸がドキドキと激しく鼓動する、いわゆる動悸もあがり症でよくみられる症状です。
これは、緊張や不安によってアドレナリンが一気に分泌され、心拍数が増加することが原因です。
動悸が強くなると、想定外の心配が増して更なる動揺につながることがあります。
息苦しさ
深く息が吸えず、胸が締め付けられるように苦しくなる「息苦しさ」も、あがり症につきものの症状です。
これは大きな緊張によって呼吸が浅く速くなり、身体が酸素不足のように錯覚するためです。
息苦しさを感じることで、さらにパニック状態になり、落ち着きを失いやすくなるという悪循環も起こり得ます。
声の震え
あがり症の人が人前で話そうとすると、声が震えてしまうことがあります。緊張や不安によって喉周辺の筋肉がこわばり、思うように声が出せなくなるのです。
声の震えを自分で自覚してしまうと、更に緊張し、ますます声が震えやすくなるという悪循環に陥ることもあります。
特にプレゼンや発表の場面で悩む人が多い症状です。
手足の震え
強い緊張状態にあると、手や足が震えることがあります。これは身体がストレスや不安に反応して、筋肉に余計な緊張が入るために起こります。
マイクや紙を持つ手が震えてしまい、自分でもコントロールできない不安を感じることが特徴です。
人に見られることでさらに意識してしまい、症状が強く出てしまう場合もよくあります。
大量の汗
発汗量が普段よりも明らかに多くなる「大量の汗」も、あがり症によく見られる症状の一つです。
特に手のひらや顔、脇の下など目立つ部分から汗をかきやすくなります。これは自律神経の働きが緊張によって活性化するためで、本人にとってとても気になる現象です。
衣服が濡れてしまったり、紙が破れてしまうなど、日常生活に支障が出ることもあります。
のぼせ
あがり症の方は強い不安を感じていると、顔や頭が熱くなる「のぼせ」の症状を感じることがあります。
血流が増加して一気に体温が上がったような感覚になります。
また、のぼせると同時に動悸や赤面、発汗など複数の症状が同時に現れることが多いのも特徴です。
あがり症の方が苦手なシーン
あがり症の方は緊張や不安を感じやすい状況に直面すると心身ともに強いプレッシャーを感じがちです。
あがり症の方が特に苦手を感じやすいシーンを紹介します。
- 人前でプレゼンや発表をする
- 人前で字を書く
- 異性と話す
- 公共の場所での飲食、会食
- 電話に出る、かける
- 雑談をする
それぞれ確認して対策を取れるようにしましょう。
人前でプレゼンや発表をする
あがり症の方にとって、会議や授業でプレゼンテーションや発表を行う場面はとても大きなストレスになります。
多くの人の視線が自分に集まることで、緊張から声が震えたり頭が真っ白になって、言葉がうまく出なくなることもあります。
また、「失敗したらどうしよう」といった不安が頭をよぎり、更に緊張が強まってしまうことがよくあります。
このような状況が続くと、事前に強い不安を感じてしまい、プレゼンや発表そのものを避けたくなる方も少なくありません。
人前で字を書く
黒板やホワイトボードに字を書くときに、周囲の視線を強く意識してしまうあがり症の方も多いです。
普段は綺麗に書ける字も、「人に見られている」という意識が働くと、手が震えたり、思ったように書けなくなってしまいます。
「うまく書けなかったらどうしよう」と不安になり、余計にぎこちない字になることも。
これがさらに不安を助長し、悪循環に陥ることも珍しくありません。
異性と話す
あがり症の方は、特に異性と話す際に緊張や戸惑いを強く感じることがあります。
相手の反応や自分の話し方に自信が持てず、「変に思われないかな」「どんな話題が無難だろう」と過度に気にしてしまいがちです。
その結果、自然な会話ができなくなり、声がうわずったり、しどろもどろになったりします。
こうした体験を繰り返すことで、ますます異性とのコミュニケーションが苦手になります。
公共の場所での飲食、会食
大勢の人がいるレストランや会食の席でも、あがり症の方は落ち着かず不安を感じることが多いです。
「自分の食べ方は大丈夫かな」「周囲の人に変な風に見られていないかな」と必要以上に周囲を気にしてしまい、リラックスして食事を楽しむことができません。
また、会食では会話も必要となるため、食事や話し方に気を使い過ぎて疲れてしまうことがあります。
電話に出る、かける
電話での会話も、多くのあがり症の方にとって苦手なシーンです。顔が見えない分、声だけでコミュニケーションをとる必要があり、相手の反応が分かりづらいため不安を強く感じてしまいます。
「聞き返されたらどうしよう」「うまく伝えられなかったら恥ずかしい」といった心配から、電話を避けるようになってしまうケースも少なくありません。
このように電話に関する場面も、あがり症の特徴がよく表れる場の一つです。
雑談をする
ちょっとした雑談や会話でも、あがり症の方は緊張して上手に話せなくなる場合があります。
特に親しくない相手や、初対面の人と話す際には、「何を話そう」「変な沈黙になったらどうしよう」と不安が先立ちます。
その結果、思ったように話が盛り上がらず、自分ばかり意識して疲れを感じてしまうことも多いです。
気軽に話せるはずの雑談も、あがり症の方にとっては大きなプレッシャーの一因となっています。
あがり症の原因
あがり症は多くの人が経験する心の反応ですが、その背景にはさまざまな原因が存在します。
生まれ持った性格や遺伝的要素だけでなく、成長環境や脳内の働きによっても影響を受けます。
自分のあがり症がどこから来ているのかを知ることで、適切な対処法を見つける第一歩といえるでしょう。
脳内アラーム機構
人があがり症になるもう一つの大きな要因は、脳内の“アラーム機構”が過敏にはたらいていることです。
これは、人間が危険やストレスを感じた際に心身を守るための仕組みですが、あがり症の人の場合は、些細な状況でも脳が「危険」と判断し、過剰な緊張反応を引き起こすのです。
具体的には、扁桃体や自律神経が関与しており、これにより手足の震えや動悸などの身体症状が現れます。
この反応が繰り返されることで「またあがってしまうかも」という不安が強化され、さらに脳のアラームが敏感になるという悪循環に陥りやすくなります。
生育環境
幼少期からの育った環境は、あがり症の発症に大きく関与します。例えば、親が常に厳しく評価したり、失敗を許容しない姿勢だった場合、子どもは自分に自信を持てなくなり、人前での失敗を強く恐れるようになることがあります。
また、過度に干渉的な家庭環境や、逆に無関心な家庭で育った場合でも自己評価が歪みやすく、人前で緊張しやすくなる原因となります。
これらの経験は本人が大人になってからも無意識のうちに行動や思考に影響を及ぼし、あがり症を引き起こしてしまうのです。
過度な緊張にお悩みの場合は早めに心療内科・精神科クリニックへ!
あがり症が一時的なものであれば問題ないことがほとんどですが、日常生活や仕事・学業に支障が出るほどの過度な緊張が続く場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
心療内科や精神科クリニックでは、あがり症の原因や度合いに応じた治療やカウンセリング、薬物療法などが受けられます。
自分ひとりで悩まず、専門家のサポートを受けることで、少しずつ自信を取り戻していくことが可能です。
過度な緊張にお悩みの場合は早めに心療内科・精神科クリニックへ相談してみましょう。
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