退職を考えたとき、多くの人がお金の心配をするのではないでしょうか。「退職給付金」や「失業手当」という言葉を聞いたことはあっても、その違いや受け取り方まで正確に理解している人は少ないかもしれません。実はこの2つ、名前は似ていますが全くの別物です。そして、条件さえ満たせば両方とも受け取ることが可能です。この記事では、退職給付金と失業手当の根本的な違いから、それぞれの受給条件、申請方法、もらえる金額まで、あなたの退職後のお金の不安を解消するために徹底的に解説します。
退職給付金と失業手当(基本手当)の5つの違い
まずは、退職給付金と失業手当の全体像を把握するために、5つの大きな違いを比較表で見てみましょう。この表を見るだけで、2つが全く異なる制度であることが一目瞭然になります。
| 比較項目 | 退職給付金(退職金) | 失業手当(雇用保険の基本手当) |
|---|---|---|
| 違い1:支給元 | 勤務していた会社 | 国(ハローワークを通じた雇用保険) |
| 違い2:目的 | 長年の勤務に対する功労報奨、退職後の生活保障 | 失業中の生活を安定させ、再就職を支援するため |
| 違い3:受給条件 | 会社の退職金規程による(勤続年数など) | 雇用保険の加入期間や就職の意思などが条件 |
| 違い4:申請先 | 勤務していた会社の人事部や総務部 | 住所地を管轄するハローワーク |
| 違い5:受取時期 | 退職後1〜2ヶ月後など会社規程による | 手続き後、最短でも7日間の待期期間以降 |
このように、退職給付金は「会社からの感謝のしるし」、失業手当は「国からの再就職支援」と考えると、その違いが分かりやすいでしょう。全く別の制度だからこそ、両方の条件を満たしていれば、もちろん両方受け取ることができるのです。
違い1:支給元と根拠となる制度
退職給付金は、あなたが勤務していた会社が支給するものです。これは法律で定められた義務ではなく、あくまで会社の福利厚生制度の一環として設けられています。そのため、制度の有無や内容はすべて会社ごとの「退職金規程」や「就業規則」によって決まります。
一方、失業手当は国の制度である「雇用保険」から支給されます。会社を辞めて失業状態になった人が、生活の心配をせずに安心して次の仕事を探せるように支援するための公的なセーフティネットです。財源は、会社と従業員が毎月の給与から支払っている雇用保険料で賄われています。
違い2:支給の目的
退職給付金の主な目的は、長年にわたって会社に貢献してきた従業員への功労に報いることです。また、退職後の生活を支えるための一時的な資金という意味合いも持ち合わせています。いわば、会社からの「お疲れ様でした」という気持ちが形になったものと言えるでしょう。
対して失業手当の目的は、失業中の生活の安定を図り、求職活動を容易にすることです。収入が途絶えた状態でも、焦らずに自分に合った再就職先を見つけられるようにサポートするのが最大の役割です。そのため、受給には「積極的に仕事を探している」という意思表示が不可欠となります。
違い3:受給できる条件
退職給付金がもらえるかどうか、いくらもらえるかは、すべて会社のルール次第です。一般的には「勤続3年以上」といった勤続年数の条件が設けられていることが多いですが、会社によっては1年でも支給される場合や、逆に制度自体が存在しない場合もあります。
失業手当の受給条件は、全国共通で法律によって定められています。原則として「離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あること」と「働く意思と能力があるにもかかわらず、職業に就けない失業の状態にあること」の2つを満たす必要があります。
違い4:申請先と手続き
退職給付金の申請先は、勤務していた会社です。通常、退職手続きを進める中で人事部や総務部から案内があり、必要な書類を提出することで手続きが完了します。会社が主導で進めてくれることがほとんどなので、あなたが複雑な手続きに奔走することは少ないでしょう。
失業手当の申請先は、あなたの住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)です。会社を辞めた後に、あなた自身が必要書類を持ってハローワークに出向き、手続きを行う必要があります。こちらは国への申請となるため、手続きのステップや必要書類が細かく決められています。
違い5:受け取れるタイミング
退職給付金が振り込まれるタイミングは、会社の規程によりますが、一般的には退職してから1ヶ月から2ヶ月後が多いようです。退職前に会社の担当部署に確認しておくと安心です。
失業手当は、ハローワークで手続きをしてからすぐにもらえるわけではありません。まず、申請後7日間の「待期期間」があり、この期間は誰であっても支給されません。さらに、自己都合で退職した場合は、待期期間満了後、原則として2ヶ月(または3ヶ月)の「給付制限期間」が設けられます。そのため、実際に最初の振込があるのは、手続きからかなり先になるケースが多いことを覚えておきましょう。
退職給付金とは?退職金との違いも解説
ここで、退職給付金についてもう少し詳しく見ていきましょう。「退職金」という言葉の方が馴染み深いかもしれませんが、その違いについても解説します。
退職給付金は企業の福利厚生制度
前述の通り、退職給付金は法律で義務付けられた制度ではなく、企業が任意で設ける福利厚生の一つです。従業員の長期的な定着を促したり、優秀な人材を確保したりする目的で導入されています。受け取り方には、大きく分けて「退職一時金」として一括で受け取る方法と、「企業年金」として分割で受け取る方法があります。
退職一時金制度
退職時に、まとまった金額を一括で受け取る制度です。多くの人が「退職金」と聞いてイメージするのはこのタイプでしょう。住宅ローンの繰り上げ返済や、新しい生活の準備資金など、まとまったお金が必要な場合に活用しやすいのが特徴です。
企業年金制度(確定給付企業年金・企業型確定拠出年金)
退職後、一定期間または生涯にわたって、年金形式で分割して受け取る制度です。老後の生活資金を安定的に確保できるのが大きなメリットです。
- 確定給付企業年金(DB):将来受け取る給付額が規約によってあらかじめ定められている年金制度です。運用成績が悪くても、会社がその不足分を補う責任を負います。
- 企業型確定拠出年金(企業型DC):会社が掛金を拠出し、従業員自身が運用商品を選んで資産を形成する制度です。運用成績によって将来の受取額が変動するのが特徴で、iDeCo(個人型確定拠出年金)と併用できる場合もあります。
「退職給付金」と「退職金」はほぼ同義
結論から言うと、一般的に「退職給付金」と「退職金」はほぼ同じ意味で使われています。
会計や制度上の正式な用語としては「退職給付」が使われることが多いですが、日常会話や一般的な文脈では「退職金」という言葉が広く浸透しています。この記事でも、基本的には同じものとして扱いますので、混乱せずに読み進めてください。あなたの会社でどちらの言葉が使われているか、就業規則などで確認してみるとよいでしょう。
失業手当(雇用保険の基本手当)とは?
次に、失業手当について深掘りします。これは退職後の生活を支える非常に重要な公的制度です。
失業手当は再就職を支援する公的制度
失業手当の正式名称は「雇用保険の基本手当」です。雇用保険に加入していた人が失業した場合に、一定期間、所定の金額を受け取ることができる制度で、再就職までの生活を金銭的にサポートすることを目的としています。これは権利であり、条件を満たしていれば誰でも受給できます。決して「もらうと恥ずかしい」ものではなく、次のステップに進むための大切な支援制度なのです。
失業手当の目的は生活の安定と求職活動の容易化
会社を辞めると、次の仕事が見つかるまで収入が途絶えてしまいます。貯蓄が十分でない場合、生活費のプレッシャーから「どんな仕事でもいいから早く決めないと」と焦ってしまい、結果的に自分に合わない職場を選んでしまうことにもなりかねません。
失業手当は、こうした事態を防ぐためのセーフティネットです。一定期間の生活費を保障することで、経済的な不安を和らげ、じっくりと腰を据えて求職活動に専念できる環境を整えることが、この制度の最大の目的です。
退職給付金と失業手当は両方もらえる?【結論】
記事の冒頭でも触れましたが、最も気になるこの疑問について、改めて結論と注意点を解説します。
条件を満たせば両方受給できる(全く別の制度のため)
はい、両方の受給条件をそれぞれ満たしていれば、退職給付金と失業手当の両方を受け取ることができます。
なぜなら、退職給付金は「会社との労働契約」に基づき、失業手当は「国の雇用保険法」に基づいて支給される、全く性質の異なるお金だからです。退職給付金をもらったからといって、失業手当が減額されたり、もらえなくなったりすることは一切ありません。逆もまた同様です。
注意点:自己都合退職の場合、失業手当には給付制限期間がある
両方もらえることは確かですが、受け取るタイミングには注意が必要です。
特に「自己都合」で退職した場合、失業手当には7日間の待期期間に加えて、原則として2ヶ月間(※)の給付制限期間が設けられます。つまり、ハローワークで手続きをしても、約2ヶ月と1週間は失業手当が1円も振り込まれない期間があるのです。
一方で、退職給付金は会社の規定によりますが、退職後1〜2ヶ月で振り込まれることが多いです。この期間に退職給付金を受け取り、失業手当の給付が始まるまでの生活費に充てる、といった資金計画を立てておくことが非常に重要になります。
※5年間のうち2回までは2ヶ月、3回目以降は3ヶ月となります。
退職給付金の受給条件
では、具体的にどのような条件を満たせば退職給付金を受け取れるのでしょうか。
企業の退職金規程によって定められる
退職給付金の受給条件は、法律で決まっているわけではなく、すべてあなたの会社の「就業規則」や、より詳細に定められた「退職金規程」によって決まります。
退職を考え始めたら、まず最初にこれらの書類を確認することが第一歩です。これらの書類は、社内のイントラネットで閲覧できたり、人事部や総務部に依頼すれば入手できたりします。こっそり確認したい場合は、共有フォルダなどを探してみるのも一つの手です。
一般的な条件(勤続年数など)
会社によってルールは様々ですが、一般的に以下のような条件が設けられていることが多いです。
- 勤続年数:最も一般的な条件です。「勤続3年以上」を支給対象とする企業が多い傾向にありますが、中には「勤続1年以上」から支給される企業もあります。
- 退職理由:自己都合退職か、会社都合退職かによって支給額が変わる(自己都合の場合は減額される)規程を設けている企業も多いです。
- 懲戒解雇の場合:重大な規律違反などによる懲戒解雇の場合は、退職金が減額されたり、全く支給されなかったりすることがほとんどです。
自分の勤続年数や退職理由が、会社の規程でどのように扱われるかを事前にしっかりと確認しておきましょう。
失業手当の受給条件
次に、失業手当の受給条件です。こちらは全国共通のルールです。
ハローワークが定める2つの原則条件
失業手当を受給するためには、大原則として以下の2つの条件を両方とも満たしている必要があります。
1. 就職する意思と能力があるが、職業に就けない「失業の状態」にあること
これは非常に重要なポイントです。「失業の状態」とは、ただ仕事をしていない状態を指すわけではありません。積極的に就職しようとする意思(求職活動)があり、いつでも就職できる能力(健康状態など)があるにもかかわらず、本人の努力やハローワークの支援があってもなお、職業に就くことができない状態を指します。
そのため、以下のような方は原則として失業手当を受給できません。
- 病気やケガですぐに働けない
- 妊娠・出産・育児ですぐに働けない
- 定年退職して、しばらく休養するつもり
- 学業に専念する学生
- 自営業を始めた、または役員に就任した
2. 離職日以前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上あること
簡単に言うと、「会社を辞める前の2年間で、合計して1年以上は雇用保険に加入して働いていましたか?」ということです。
この「被保険者期間」は、カレンダー上の月数とは少しカウント方法が異なります。離職日から遡って1ヶ月ごとに区切り、その期間内に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を「1ヶ月」とカウントします。パートやアルバイトの方でも、この条件を満たしていれば対象となります。
退職理由(自己都合・会社都合)による条件の違い
上記の原則条件に加えて、退職理由によって被保険者期間の条件が緩和されたり、給付開始時期や給付日数が異なったりします。
| 退職理由 | 被保険者期間の条件 | 待期期間 | 給付制限期間 | 所定給付日数 |
|---|---|---|---|---|
| 一般の離職者(自己都合など) | 離職日以前2年間に12ヶ月以上 | 7日間 | あり(原則2ヶ月) | 90日~150日 |
| 特定受給資格者(倒産・解雇など) | 離職日以前1年間に6ヶ月以上 | 7日間 | なし | 90日~330日 |
| 特定理由離職者(正当な理由のある自己都合) | 離職日以前1年間に6ヶ月以上 | 7日間 | なし | 90日~330日 |
特定受給資格者とは、会社の倒産や解雇など、予期せぬ理由で離職を余儀なくされた方のことです。
特定理由離職者とは、体力の不足や家族の介護など、正当な理由があって自己都合退職した方のことです。
これらのケースに該当する場合、被保険者期間の条件が「離職日以前1年間に6ヶ月以上」に緩和され、さらに自己都合退職者に課される2ヶ月の給付制限期間がなくなります。これにより、より早く、より長く手当を受け取れるようになっています。
退職給付金の申請方法と必要書類
ここからは、実際の手続きについて解説します。まずは退職給付金の申請方法です。
申請先は勤務していた会社
退職給付金の手続きは、勤務していた会社の人事部や総務部が窓口となります。退職の意思を伝えた後、担当者から手続きに関する案内があるのが一般的です。もし案内がない場合は、遠慮なく問い合わせましょう。
手続きの一般的な流れ
- 退職の意思を会社に伝える:就業規則で定められた期日(通常は退職希望日の1ヶ月前など)までに、直属の上司に退職の意思を伝えます。
- 会社から必要書類を受け取る:退職日が近づくと、会社から退職給付金の請求に必要な書類が渡されたり、郵送されたりします。
- 書類に記入し、会社に提出する:受け取った書類に必要事項を記入し、指定された期日までに会社に提出します。
- 指定口座への振込:会社の規程に基づき、指定した金融機関の口座に退職給付金が振り込まれます。
多くの場合は会社側が段取りを組んでくれるため、指示に従って進めれば問題なく手続きできます。
必要になる主な書類
会社によって異なりますが、一般的に以下のような書類の提出を求められます。
- 退職金(退職給付金)請求書:会社所定のフォーマットがあります。
- 退職所得の受給に関する申告書:これの提出が非常に重要です。提出しないと、退職金から一律で20.42%の所得税が源泉徴収されてしまい、後で自分で確定申告をして還付を受ける手間が発生します。必ず提出しましょう。
- 振込先金融機関の口座情報
- マイナンバー(個人番号)がわかる書類
失業手当の申請方法と必要書類
次に、失業手当の申請方法です。こちらはあなた自身がハローワークに出向いて行う必要があります。
申請先は住所地を管轄するハローワーク
申請場所は、あなたが住んでいる地域の住所を管轄するハローワークです。以前勤務していた会社の所在地を管轄するハローワークではないので注意してください。管轄のハローワークがどこかわからない場合は、インターネットで「(市区町村名) ハローワーク 管轄」と検索すればすぐにわかります。
手続きの具体的な流れ(7つのステップ)
失業手当の受給は、以下の7つのステップで進みます。少し長丁場になりますが、一つずつ着実にこなしていきましょう。
ステップ1:必要書類を準備する
まず、ハローワークに行く前に必要な書類を揃えます。特に重要なのが、会社から交付される「離職票」です。これがなければ手続きが始められません。通常、退職後10日ほどで自宅に郵送されてきますが、もし届かない場合は会社に問い合わせましょう。
ステップ2:ハローワークで求職の申込みと受給資格の決定
準備した書類を持って、管轄のハローワークへ行きます。窓口で「失業手当の手続きをしたい」と伝えると、案内してくれます。
最初に「求職の申込み」を行い、その後、持参した書類を提出して「受給資格の決定」を受けます。ここで、あなたが失業手当をもらえる資格があるかどうかが判断されます。
ステップ3:雇用保険受給者初回説明会への参加
受給資格が決定すると、後日開催される「雇用保険受給者初回説明会」の日時を指定されます。この説明会では、失業手当の受給に関する重要なルールや、今後の手続きの流れについて詳しい説明があります。必ず参加しましょう。この場で「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されます。
ステップ4:7日間の待期期間
ステップ2で受給資格が決定した日から通算して7日間は「待期期間」と呼ばれます。この期間は、失業手当は支給されません。この7日間は、アルバイトなども含め、一切の労働が認められていないので注意が必要です。
ステップ5:失業の認定
原則として4週間に1度、ハローワークが指定する「失業認定日」にハローワークへ行き、「失業の認定」を受ける必要があります。この際、「失業認定申告書」に、前回の認定日から今回までの期間中に行った求職活動の状況などを記入して提出します。求職活動の実績(原則2回以上)がないと、失業の認定は受けられません。
ステップ6:受給
失業の認定を受けると、通常5営業日ほどで、指定した口座に前回の認定日から今回の認定日の前日までの日数分(通常28日分)の失業手当が振り込まれます。
ステップ7:所定給付日数の満了まで認定と受給を繰り返す
再就職が決まるか、給付日数がなくなるまで、ステップ5とステップ6を繰り返します。
必要になる主な書類一覧
ハローワークでの初回手続きには、以下の書類が必要です。事前にしっかり準備しておきましょう。
- 雇用保険被保険者離職票-1、2(会社から交付)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号記載の住民票のいずれか)
- 身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど顔写真付きのもの1点。なければ健康保険証+住民票など2点)
- 証明写真2枚(最近の写真、正面上半身、タテ3.0cm×ヨコ2.5cm)
- 印鑑(認印で可)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
いくらもらえる?退職給付金と失業手当の金額と税金
最後に、それぞれのお金がいくらくらいもらえて、税金はどうなるのかについて解説します。
退職給付金の計算方法と税金(退職所得控除)
退職給付金の金額は、会社の規程によって大きく異なります。計算方法は「基本給連動型」「ポイント制」「定額制」など様々です。正確な金額を知るには、会社の退職金規程を確認するか、人事部に問い合わせるのが最も確実です。
税金面では、退職金は「退職所得」として扱われ、他の所得(給与所得など)とは分離して計算されるため、税負担が非常に軽く済むようになっています。
その理由は「退職所得控除」という非常に大きな控除が適用されるためです。
- 勤続20年以下: 40万円 × 勤続年数 (※80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続20年超: 800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)
この控除額を退職金の額から差し引いた金額の、さらに半分が課税対象となります。例えば、勤続30年で退職金が1,500万円の場合、控除額は1,500万円(800万円 + 70万円×10年)となり、退職金全額が非課税になります。
失業手当の計算方法と税金(非課税)
失業手当で1日あたりにもらえる金額を「基本手当日額」と呼びます。これは、原則として離職直前の6ヶ月間に支払われた賃金の合計額を180で割って算出した金額(賃金日額)のおおむね50~80%(60~64歳は45~80%)となります。賃金が低い人ほど、給付率が高くなる仕組みです。
そして、失業手当の最大のポイントは、このお金は全額「非課税」であるということです。所得税も住民税もかかりません。そのため、確定申告をする必要もありません。これは失業中の人々の生活を支えるという制度の趣旨に基づいています。
退職給付金と失業手当に関するよくある質問(Q&A)
Q1. 退職給付金制度がない会社もありますか?
A1. はい、あります。
退職給付金は法律で義務付けられている制度ではないため、特に中小企業などでは制度自体が存在しないことも珍しくありません。厚生労働省の調査でも、退職給付制度がある企業は全体の約7~8割程度となっています。退職を決める前に、自社に制度があるかどうかを必ず確認しましょう。
Q2. 失業手当の受給中にアルバイトはできますか?
A2. 条件付きで可能ですが、必ずハローワークへの申告が必要です。
まず、申請後7日間の「待期期間」中は一切働くことはできません。その後の「給付制限期間」や「受給期間」中は、週20時間未満かつ雇用保険の加入要件を満たさない範囲でのアルバイトであれば認められることが多いです。ただし、ルールは非常に厳格で、働いた日や収入は失業認定日にすべて申告しなければなりません。申告を怠ると、不正受給として厳しいペナルティが課されますので、アルバイトを始める前に必ずハローワークに相談してください。
Q3. 「退職給付金が怪しい」と聞きましたが本当ですか?
A3. 会社が規程に基づいて支払う退職給付金は、全く怪しいものではありません。
これは従業員の正当な権利です。ただし、外部の業者から「退職金の申請を代行します」「より多くもらえる方法を教えます」といった勧誘があった場合は注意が必要です。退職給付金の手続きは会社とあなた自身で行うものであり、第三者が介入する必要は基本的にありません。不審な勧誘には応じないようにしましょう。
Q4. 退職給付引当金とは何ですか?
A4. 企業会計上の勘定科目の一つで、従業員が直接関わるものではありません。
「退職給付引当金」とは、会社が将来支払うべき退職給付金に備えて、あらかじめ会計帳簿上で計上しておく見積額(負債)のことです。これにより、会社の財政状態を正しく把握することができます。あなたが退職金を受け取る際に、この引当金について何か手続きをする必要は一切ありませんので、豆知識程度に覚えておくとよいでしょう。

