退職後の生活を考えると、お金の不安はつきもの。「失業手当はいったいいくらもらえるんだろう?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
失業手当(雇用保険の基本手当)は、再就職までの大切な生活資金です。しかし「計算方法が複雑でよくわからない」「自分がいくらもらえるか見当もつかない」という方がほとんどです。
この記事では、失業手当の計算方法を3ステップでわかりやすく解説するとともに、自分がいくら受給できるかを30秒で確認できるシミュレーターもご用意しています。退職後の生活設計にぜひお役立てください。
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失業手当(失業保険)の計算方法
失業手当の給付総額は、「基本手当日額(1日あたりの支給額)」×「所定給付日数(もらえる日数)」で決まります。具体的には以下の3つのステップで算出します。
-
1
「賃金日額」を算出する
賃金日額
=
退職前6カ月間の賃金総額
÷
180 -
2
「基本手当日額」を算出する
基本手当日額
=
賃金日額
×
給付率 50〜80%※※給付率は離職時の年齢によって異なります。また60〜64歳の方の給付率は45〜80%となります。
-
3
受給できる総額を算出する
給付総額
=
基本手当日額
×
所定給付日数
ステップ1:賃金日額を計算する
「賃金日額」とは、退職前6ヶ月間の賃金総額を180日で割った、1日あたりの賃金額です。
賃金日額 = 退職日直前の6ヶ月間に支払われた賃金の合計 ÷ 180
ポイントは「賃金」の範囲です。基本給のほか、残業代・通勤手当・住宅手当・役職手当なども含まれます。一方で、賞与(ボーナス)・退職金・各種祝い金などの臨時的な収入は含まれません。
また、賃金日額には年齢ごとに上限額が定められています。自分の賃金日額がこの上限を超えている場合は、上限額で計算されます。
| 離職時の年齢 | 賃金日額の上限額 | 基本手当日額の上限額 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 13,890円 | 6,945円 |
| 30〜44歳 | 15,430円 | 7,715円 |
| 45〜59歳 | 16,980円 | 8,490円 |
| 60〜64歳 | 16,210円 | 7,294円 |
※上限額は毎年8月1日に改定されます。必ず最新情報をご確認ください。
ステップ2:基本手当日額を算出する
次に、1日あたりに支給される「基本手当日額」を求めます。
給付率は一律ではなく、賃金日額が低い人ほど給付率が高く(最大80%)、高い人ほど低く(最低50%)なる仕組みです。生活水準の低い方ほど手厚く保護するという考え方に基づいています。おおよそ「退職前の月給の50〜80%が毎月受け取れる」とイメージすると分かりやすいでしょう。
ステップ3:所定給付日数を確認する
最後に、失業手当を何日間受け取れるかを示す「所定給付日数」を確認します。この日数は、「退職理由」「年齢」「雇用保険の被保険者期間」の3つによって決まります(詳細は「所定給付日数とは」で解説しています)。
ケース1:28歳・勤続5年・月収25万円(自己都合退職)
- 退職前6ヶ月の賃金総額:25万円 × 6ヶ月 = 150万円
- ①賃金日額:150万円 ÷ 180日 = 8,333円
- ②基本手当日額:8,333円 × 約65% = 約5,416円
- ③所定給付日数:自己都合・10年未満 = 90日
- 支給総額:5,416円 × 90日 = 約487,440円
ケース2:48歳・勤続20年・月収40万円(会社都合退職)
- 退職前6ヶ月の賃金総額:40万円 × 6ヶ月 = 240万円
- ①賃金日額:240万円 ÷ 180日 = 13,333円
- ②基本手当日額:13,333円 × 約50% = 約6,666円
- ③所定給付日数:会社都合・45〜59歳・20年以上 = 330日
- 支給総額:6,666円 × 330日 = 約2,199,780円
※給付率は賃金日額によって変動します。実際の計算式は複雑なため、上記は目安の割合で算出しています。
このように、退職理由と年齢・勤続年数の違いだけで受給総額が3〜4倍以上変わることもあります。まずは下記のシミュレーターでご自身の目安額を確認してみましょう。
失業手当(失業保険)の給付総額の計算シミュレーション
退職前6ヶ月分の月給・年齢・加入期間・退職理由を入力するだけで、給付総額と給付日数を30秒で確認できます。給与明細をお手元にご用意いただくと、より正確な数字が出せます。
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失業手当(失業保険)の給付額計算に「離職理由」も関わる理由
失業手当の計算で見落としがちなのが「離職理由」の影響です。離職理由によって「所定給付日数」が大きく変わるため、結果として受給総額に数十万〜数百万円の差が生まれます。
ただし、自分がどの区分に当てはまるかは自己申告だけでは決まりません。退職した会社がハローワークに申請し、ハローワークが会社と本人双方の主張をもとに最終判定します。
離職理由ごとの受給条件の違い
| 離職理由 | 所定給付日数 | 給付制限 | 受給条件(被保険者期間) |
|---|---|---|---|
| 自己都合退職・懲戒解雇など | 90日〜150日 | あり(原則2ヶ月) | 2年以内に12ヶ月以上 |
| 会社都合退職(倒産・解雇など) | 90日〜330日 | なし | 1年以内に6ヶ月以上 |
| 有期雇用で更新希望がかなわず退職 | 90日〜330日 | なし | 1年以内に6ヶ月以上 |
| やむを得ない理由(病気・介護等) | 90日〜150日 | なし | 1年以内に6ヶ月以上 |
| 定年退職(65歳未満) | 90日〜150日 | なし | 2年以内に12ヶ月以上 |
「自己都合退職」でも給付制限なしになるケース
退職届を自分で提出した場合でも、退職理由によっては「特定理由離職者」として給付制限なしで受給できることがあります。
- 体力不足・疾病・負傷など(医師の診断書が必要)
- 家族の介護・看護
- 勤務地の変更で通勤が困難になった(往復4時間以上が目安)
- 給与の大幅な減額や賃金未払いがあった
- 上司・同僚からのハラスメントを受けた
これらに該当する場合は、診断書・給与明細・ハラスメントの記録など客観的な証拠を用意してハローワークに相談しましょう。認められれば給付制限2ヶ月がなくなり、より早く受給を開始できます。
2025年4月からの制度変更点
2025年4月からは、リスキリング(学び直し)を目的とした自己都合退職について、給付制限を撤廃する方向で制度改正が行われています。退職前に最新の制度を必ず確認しましょう。
失業手当(失業保険)の所定給付日数とは?受給できる日数を確認しよう
「所定給付日数」とは、失業手当を受け取れる日数の上限のことです。この日数が長ければ長いほど、受給総額も増えます。離職理由・離職時の年齢・雇用保険の被保険者期間の3つで決まります。
自己都合退職・定年退職・やむを得ない理由での退職の場合
この区分では、所定給付日数は被保険者期間のみで決まります(年齢は関係しません)。
| 被保険者だった期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 1年未満〜10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合退職(特定受給資格者)の場合
倒産・解雇など会社都合で離職を余儀なくされた「特定受給資格者」は、年齢と被保険者期間の両方が影響し、最大330日まで受給できます。
| 被保険者期間 | 〜29歳 | 30〜34歳 | 35〜44歳 | 45〜59歳 | 60〜64歳 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
| 5年以上10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
| 10年以上20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
| 20年以上 | ― | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
失業手当を受給するための2つの条件
失業手当は退職すれば自動的に受け取れるわけではありません。以下の2条件を両方満たす必要があります。
- ハローワークで求職申込みを行い、就職する意思と能力があるにもかかわらず、職業に就けない「失業状態」にあること。
病気・けが・妊娠・出産・介護などですぐに就職できない場合は対象外です。 - 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。
ただし会社都合退職・特定理由離職者は「1年以内に6ヶ月以上」で受給可能です。
退職から初回振込までのスケジュール
失業手当は手続き後すぐに振り込まれるわけではありません。自己都合退職の場合、最初の振込は手続き開始から約3ヶ月後が目安です。
- 【退職後】会社から「離職票」を受け取る(通常10日〜2週間)
- 【速やかに】管轄のハローワークへ行き、求職申込み・受給資格決定
- 【7日間】待期期間(この間は支給なし・全員対象)
- 【約1週間後】雇用保険受給者初回説明会に参加
- 【自己都合の場合】給付制限期間(原則2ヶ月)
- 【4週間に1回】失業認定日にハローワークへ
- 【認定日から約5〜7営業日後】指定口座に振込
会社都合退職の場合は給付制限がないため、約1ヶ月後から受給開始できます。
受給中のアルバイトに関する注意点
受給中にアルバイトをすること自体は可能ですが、4週間に1度の失業認定日に必ず申告しなければなりません。申告を怠ると不正受給とみなされ、支給停止・返還命令(受給額の最大3倍)などの厳しいペナルティが課されます。
- 1日の労働時間が4時間未満:内職・手伝いとみなされ、収入額によって手当が減額または支給される
- 1日の労働時間が4時間以上:就労とみなされ、その日の手当は支給されず受給期間終了後に繰り越し(先送り)
失業手当(失業保険)に関するよくある質問(Q&A)
Q. 手取り20万円の場合、失業手当は月いくらになりますか?
失業手当の計算は税引前の「総支給額(額面)」をもとに行います。手取り20万円の場合、総支給額は24〜25万円程度と想定されます。30歳未満・自己都合退職であれば、基本手当日額は約5,000〜5,500円、月額(30日換算)で約15〜16.5万円が目安となります。
Q. 失業手当は給料の何%もらえますか?
賃金日額に応じて、おおよそ50〜80%の間で変動します。給与が比較的低い方は80%に近く、高い方は50%に近くなります。一概に「〇%」とは言えないため、上記のシミュレーターを活用してください。
Q. 退職したら200万円以上もらえるケースはありますか?
はい、条件によっては可能です。給与水準が高く勤続年数が長い方が会社都合で退職した場合、失業手当だけで200万円を超えることがあります(例:48歳・勤続20年・月収40万円・会社都合で約220万円)。さらに傷病手当金との併用で最大400万円に達するケースもあります。
Q. 65歳以上で退職した場合はどうなりますか?
65歳以上で退職した場合は、通常の失業手当ではなく「高年齢求職者給付金」が支給されます。被保険者だった期間に応じて基本手当の30日分または50日分が一括で支払われます。詳細は厚生労働省の公式資料をご確認ください。
Q. 再就職手当とはなんですか?いくらもらえますか?
再就職手当は、失業手当の所定給付日数を一定以上残して再就職が決まった場合に支給される制度です。
- 残日数が給付日数の2/3以上のとき:給付率70%
- 残日数が給付日数の1/3以上のとき:給付率60%
早く再就職するほど多く受け取れる仕組みです。失業手当の受給中は、再就職手当も視野に入れて活動スケジュールを立てましょう。
Q. 失業手当の申請に必要なものは何ですか?
ハローワークでの手続きには主に以下のものが必要です。事前に準備しておくとスムーズです。
- 雇用保険被保険者離職票(-1・-2)(退職後に会社から交付)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード・通知カードなど)
- 身元確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 証明写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑(認印で可)
まとめ:失業手当(失業保険)のシミュレーションで退職後の生活設計を
失業手当(雇用保険の基本手当)は、次のキャリアへ進むための重要なセーフティネットです。この記事のポイントをまとめます。
- 賃金日額=退職前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180
- 基本手当日額=賃金日額 × 給付率(50〜80%)
- 支給総額=基本手当日額 × 所定給付日数(退職理由・年齢・勤続年数で決まる)
退職理由・年齢・勤続年数の違いだけで、受給総額が数十万〜数百万円単位で変わります。まずは上記のシミュレーターで給付目安を確認し、退職後はできるだけ早くハローワークへ相談しましょう。
また、「傷病手当金と失業手当を正しく組み合わせる」ことで受給期間が最大28ヶ月に延び、通常より大幅に多くもらえるケースがあります。手続きが複雑で不安な方は、専門家のサポートを活用することも選択肢の一つです。
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